「アレルギーマーチ」を
進行させないために

子どものアレルギーでは、成長とともにいろいろなアレルギー症状が出てくる場合があります(アレルギーマーチ)


アレルギーの原因(アレルゲン)や症状も、年齢とともに変わります。
「アレルギー体質だから仕方ないな…」と諦めてしまうのではなく、このことを知って、早めに対策を立て、アレルギーマーチが進まないようにすることが大切です。
そのためには正しい診断が重要です。
まずはじっくりとお話を伺わせてください。いつ、どのような症状が出たのか、疑わしい食べ物はあったのか、どんなことをしていてその症状がでたのか、初めての症状なのか、これまでにも何度も同じ症状が出ているのか、どれくらい症状が続いているのか、普段はどのようなスキンケアをしているのか、過去のアレルギー検査結果などについてかなり詳細に問診を行います。

実はアレルギーは問診が8割、と言われているのをご存じですか?
問診だけで、血液検査をしなくても原因がわかることがあるほど、問診は何よりも大切と考えております。アレルギーの初診の方には専用の予約枠を設けておりますので、ぜひそちらからご相談ください。

アレルギーの治療には、長い期間がかかります。当院では、診断の時だけ、悪化した時だけではなく、新しい治療法や考え方を常に学びながら、お子様やご家族に寄り添った治療を行っていきたいと考えています。

当院のアレルギーに対する
考え方

食物アレルギー

食物アレルギー

原因となるアレルゲン食物を口にすると蕁麻疹や湿疹、咳、腹痛、嘔吐などが出現します。
すぐに症状が現れることもあれば、数時間後に症状が出ることもあります。

食物アレルギーで大切なことは

  • アレルゲン食物が何かを特定すること
  • アレルゲン食物をいつから、どれくらいの量を食べさせることができるのかを判断すること

です。

以前は、血液検査で陽性になると、その食品を一切食べさせないよう指導されていました。
しかし、近年この食物アレルギーへの取り組みが大きく変化しました。血液検査で陽性でも、何の問題もなく食べられるケースが多くあることがわかってきたのです。食べ物から摂る栄養はどんどん成長していく子どもにとってとても大切です。血液検査で陽性だったからと言って、やみくもに除去すれば良いというものではありません。逆に数値が低いけれど症状が出るものもあります。
当院では、安心して食事ができるように、血液検査だけで除去の判断をするのではなく、実際に食べてみて症状を確認する検査(食物経口負荷試験)などを併用しながら、どこまで何を食べられるのか、きちんと指導していきます。

食物アレルギーの診断書

食物アレルギーにより、園や学校給食で、食品の制限や除去が必要なお子様のために、指示書や生活管理指導表などを発行しています。
アレルギー専門医の立場から、詳細な問診や必要に応じて適切な検査を行い、的確な指示書を発行します。ご相談ください。

「学校や園からアレルギーの検査をしてもらってきてくださいと言われました」というご相談をよくお受けいたしますが、検査が必要かどうかを見極めることもアレルギー科医の重要な仕事と考えております。問診や症状・身体所見からアレルゲンの存在が疑われる例においては必要に応じて検査を行わせて頂きますが、嫌がるお子様に「本当に検査が必要なの?」と思われているご家族もいらっしゃると思います。ぜひご相談ください。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

2ヶ月~6ヶ月以上、かゆみの強い特徴的な湿疹が続きます。赤ちゃんの場合は乳児湿疹と区別が難しい場合もありますが総合的に判断します。アトピーと一言で言っても、赤ちゃんのアトピーと子どものアトピー、大人のアトピーの原因や症状は異なります。
発症の原因や悪化因子をきちんと確認してから治療をすることが大切です。

アトピー性皮膚炎の治療で大切なことは

  • 適切なスキンケア
  • 正しいお薬の選択と使い方
    (どの薬を、どこに、どれくらいの量、どのくらいの頻度で塗るか)

です。

診察時にはこの上記2点を丁寧に説明させて頂きます。特にスキンケアは大事です。赤ちゃんの肌荒れであれば、スキンケアを見直すだけでお肌は見違えるようにきれいになることもよくあります。

アトピーの治療にはどうしても時間がかかります。季節によってもお肌の状態は変化します。
一気に良くなるのではなく、良くなって、少し悪化して、また少し良くなって、また少し悪化して…と波があります。
少しでも悪化してしまうと頑張ってスキンケアしてきたのに…と落ち込んでしまうこともあるかと思います。当院ではその時々で、悪化原因は何か、どうしたら予防できるかなどについて一緒に考えていきます。お肌を清潔に保って保湿するためのコツをお伝えして、正しいスキンケアの方法を指導します。

  • 特にアトピー性皮膚炎に関しては、インターネット上にさまざまな情報があふれています。すべての情報が間違っているわけではありませんが、民間療法やアトピービジネスにはご注意ください。

気管支喘息

長引く咳込みやゼイゼイ、ヒューヒューという咳、走り回ると咳込むなどの症状があります。小児の喘息の70%は3~4歳までに発症すると言われています。また、残念ながら30%くらいの方が成人へ持ち越してしまうとも言われています。小児の喘息では、「症状がない状態を保って普通の生活を送ること」、「肺機能が正常であること」を治療の目標とし、成人への持ち越しを予防することが大切です。

気管支喘息の治療で大切なことは

  • 喘息であることを診断すること
  • 喘息の症状に合わせた内服薬、吸入薬の選択

です。

実は小児の喘息は一回の診察では診断するのが難しい病気です。お子様の咳が続く時、それが風邪なのか、喘息なのかを見分けることは、小児科医でも難しいことがあります。軽い咳でも喘息が隠れていることもあります。
また、喘息の特徴である「喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)」は夜間や明け方、または運動後にみられることが多く、医師の診察中に必ず聞けるとは限りません。
「ずっと咳が長引いている」「胸の音が変」など気になる時は、ご相談ください。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎

くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状があります。
ハウスダストなどに反応する通年性のアレルギー性鼻炎やスギ花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎があります。アレルギー性結膜炎を伴うと目のかゆみなども見られます。

アレルギー性鼻炎で大切なことは

  • アレルギー性鼻炎であることを診断すること
  • 年齢や症状に合わせたお薬の選択

です。

最近では花粉症も低年齢化しており、小さいお子様でも花粉症の症状がみられる場合がありますが、風邪の場合も同様にくしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状があります。どちらか区別することは小児科医でも難しいことがあります。また、最近ではスギ花粉症とダニへのアレルギー体質を改善する「舌下免疫療法」が承認されました。満5歳以上のお子様で治療可能です。詳しくはご相談ください。

舌下免疫療法について

スギ花粉やダニの成分(アレルゲン)を少しずつ体内に入れることで、スギ花粉、ダニに体を慣らし、アレルギーが起きないようにする治療法です。アレルゲンを人体に無害に近いほど薄めた薬を使用します。体に慣れさせることで、アレルギー反応を引き起こさない体質にゆっくりと変えていく治療法です。当院ではスギ、ダニに対する錠剤での治療となります。

5歳以上(唾を1分程度飲み込まずにいられること)
スギ、もしくはダニのアレルギーが血液検査で証明されていること。

1日1回、舌の裏にお薬を置いて、1~2分してから飲み込みます。
初回はクリニック内で行います。アレルゲンを直接体内に取り込むため、内服後30分間は体調変化がないかどうか、クリニック内で様子をみます。翌日分からご自宅で内服して頂きます。

通院は約1ヶ月に1回、3~5年間行うのが基本です。

スギ花粉:6月~11月スギ花粉の飛散時期には開始できません。
ダニ:一年中いつでも開始できます。

効果が持続する
治癒の可能性がある
薬で眠くならない

効果の発現は遅い
3年以上毎日内服を続ける必要がある
スギかダニに限られる
口内にかゆみがでることがある
症状がない時も毎日の服用が必要
スギは花粉飛散時期には開始できない
舌下に1分間薬を保持しなければいけない
2割くらいは、症状の改善が見られない方もいらっしゃる

治療を行うかどうかも含め、お気軽にご相談ください。

ご協力お願いします

当院は子どものアレルギー科を専門としております。成人の方は他の病気(高血圧、糖尿病、緑内障など)が隠れている可能性もあるため、内科・耳鼻科・眼科など、成人のアレルギー診療を担当される医療機関への受診をお願い申し上げます。より安全な医療を行うためですので、ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます